豊田工業大学 研究センタースマートエネルギー技術研究センター
2012年設立 センター長:大下 祥雄
エネルギーの生成
超薄型結晶シリコン太陽電池?材料の研究開発
研究テーマ
- 超薄型結晶シリコン太陽電池
- 低品位シリコン原料からの高品質結晶成長
- 多結晶シリコンの欠陥?不純物評価解析
主な研究内容?成果
①超薄型結晶シリコン太陽電池の研究開発
薄型基板の使用時の割れを抑制する改良を加えた製造ライン(180~230μm)プロセスによる100μm厚さの太陽電池の実現
②多結晶シリコンの欠陥?不純物評価解析
シンクロトロン放射光(SPring-8)を利用した微量鉄(~1ppba)分布の測定
シンクロトロン放射光(SPring-8)を利用した微量鉄(~1ppba)分布の測定
高効率集光型太陽電池?材料の研究開発
研究テーマ
- シリコン基板上III-V族化合物太陽電池
- 低コストIII-V族化合物薄膜太陽電池
- 高効率多接合太陽電池用新材料
- 多接合太陽電池?材料の欠陥解析
主な研究内容?成果
①シリコン基板上III-V族化合物太陽電池
Si上III-V族2接合セルの効率予想と転位密度の関係
低温MEE成長による転位密度低減
MBE-XRD装置(SPring-8)を用いたその場X線回折測定による歪緩和過程の解明
②低コストIII-V族化合物薄膜太陽電池
2インチSi基板から瞬間的にGaAsエピ層剥離
次世代太陽電池?材料の研究開発
研究テーマ
超高真空一貫MBE装置
- 量子構造応用太陽電池
- 歪格子系太陽電池材料?構造
- 太陽電池電極の局所解析
- 表面量子構造の基礎と応用(太陽電池と光化学変換素子への展開)
主な研究内容?成果
①量子井戸島構造による赤外→可視光アップコンバージョン
次世代中間バンド型太陽電池の新提案
②歪格子系材料?構造
InGaAs/GaAs系の構造制御と計測
格子定数の違いによる歪の模式図
③半導体-電極界面の局所解析
KFM(Kelvin-probe Force Microscopy)/AFM 形状?仕事関数評価
④新規結晶成長法の開拓Submonolayer (SML) 成長法による2D/3Dの精密制御
Control of 2D/3D Structures by SML growth(AFM/PL)
高性能熱電発電素子と熱電値の開発
研究テーマ
- 熱電素子の新規デザイン
- 熱電素子の高性能化とプロセスコストの低減
- 革新的熱電材料の開発
主な研究内容?成果
①熱電素子の新規デザイン
既存の熱電素子とは異なるデザインの素子として,複合材料型素子や,一体型(チップ型)素子,無機フレキシブル素子の研究開発を行っている.さらに,温度差を必要とせず,環境熱を吸収することで発電する素子の開発にも取り組んでいる.
図1 2層(2相)熱電素子
図2 無機フレキシブル熱電材料と素子
②熱電素子の高性能化とプロセスコストの低減
熱電素子の作製プロセスコストの低減を目指した開発研究を行っている.100℃以下の低温プロセスのみで作製可能な一体型(チップ型)熱電発電素子の開発にも成功している.
80℃の焼結で作製可能な熱電素子の作製方法
と性能評価の様子
③革新的熱電材料の開発
熱電発電を用いれば,無駄に捨てられている廃熱から有用な電力を生み出すことができる.しかし,性能,構成元素の希少性?毒性から,広く応用されるに至っていない.安価で無害な元素から構成され,かつ,高い性能を示す熱電材料を開発できれば,省エネルギーを導く革新的技術として,その波及効果は極めて大きいはずである.我々は,固体物理学の知識,電子構造の精密解析(理論計算と先端分光),高品質試料の作成技術を駆使することで,環境に優しい高性能熱電材料の創製を行っている.最近では,世界最高性能を示すバルク熱電材料や,革新的性能を示す可能性がある,新しい現象を発見するに至っている.
A Yamamoto et al.,JJAP 55, 020301 (2016).
K. Delime-Codrin et al.,APEX 12, 045507 (2019).