豊田工大Release
2023年 学長年頭所感
2023.01.18
豊田工業大学 学長 保立 和夫
令和5年、卯の年が始まりました。豊田工業大学では、本年も、教職員の皆さんならびに学生の皆さんの全員で、教育活動と研究活動のさらなる活性化を図るための努力を重ねて参ります。皆さまには、引き続きのご支援とご鞭撻を、どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、新型コロナウイルス感染症は、いまだ終息には至っておりません。昨年夏の第7波は落ち着く方向に向かったようにも見えましたが、結局、第8波が到来し、今日に至っています。それでも、本学の日々の活動は通常形態を取り戻してきており、2021年度に続き2022年度も、全ての講義や実習を対面で行いました。各研究室での研究活動も順調に推移しています。この間の学生の皆さん、教職員の皆さんの努力と協力に、深く感謝致します。幾つかの活動には未達成部分もありますが、年度末に向けたひと頑張りで、完遂できると期待しています。
2020年夏には、7年を掛けた「キャンパスリニューアル」が完了し、新キャンパスの新たな建屋の中に、教育?研究施設、コミュニケーションスペース、学生寮と国際交流ハウス、クリーンルームと創造性開発工房などが刷新されました。昨年は、その活用も進み、学生の皆さんは自学自習スペースでの活動を展開し、豊田喜一郎記念ホールでのイベント開催も増えました。9月には、本学の大学祭「天樹祭」を3年ぶりに対面形式で開催しています。本学を開設され、以来40年余りにわたりご支援を続けてくださるトヨタ自動車ならびにご関連の皆さまに感謝しつつ、今後も、本学の自由で闊達な教育と研究の活動をさらに活性化して、本学から社会への貢献をさらに拡充してゆけるよう、努力を重ねて参ります。
本学では、15年程先を見通した教育?研究?運営に関する長期ビジョンを策定し、5ヶ年ごとの中期プランによってそれを具体化してきています。現在は、2024年度から始まる次期長期ビジョンを検討?作成中です。本ビジョン案については、学内に設置した次期長期ビジョン検討委員会を中心に、運営懇談会や学長副学長懇談会などで原案を作成し、専任教員会議、学術アドバイザー懇談会、理事会?評議員会などの皆さまにご説明して、多くのご意見を頂戴してきました。本年春には、本長期ビジョンをほぼ固め、続いて第1期中期プランも策定して、2024年度の開始に備えることになります。
本学には、40年余りにわたる活動を通して、特長ある多様な教育?研究スキームが蓄積されています。例えば、学生の皆さんの専門分野は入学時には決めずに、2年次後期開始時に決定すること、分野横断型の教育、充実した実験?実習科目、学士課程から博士課程に至る教養教育、企業実習や海外研究インターン、海外語学研修や海外姉妹校?提携校との連携などです。これらは、前述した新キャンパスや新ファシリティとともに、新ビジョンの立案?実施において有効に活用されることになります。
これら特長ある充実した教育?研究スキームと恵まれた環境を有効活用した上で、本学の教育力?研究力そして人材育成力をさらに高めるためになすべきことは、「学修」と「研究」に取り組む「態度」を、学生の皆さんと一緒に、一層磨き上げ、皆さんの社会貢献力を一段と高めることであると、本学では考えました。そのためには、「理解を追求する学修」、つまり「理由を手繰る学修」の徹底が中国足球彩票です。このような「学修」を繰り返すことで、学修活動の直接的な成果である「知識と理解」に加え、汎用力である「論理的思考力」も付随して身につき、「自ら論理的に考える人材」になってゆけます。
このような「汎用力」には、他にも、社会人として活躍する上で大切な力が複数あって、いずれも、大学での「学修」「研究」活動において付随して身につけることが可能です。この点に関しては、教務委員会において、本年度を「論理的思考力育成元年」と設定し、昨年夏の教育談話会では、「論理的思考力」を含めた各種「汎用力」を獲得するための「学修法」「学修指導法」と「研究法」「研究指導法」について、多角的に検討致しました。これら検討の成果は、次期長期ビジョンにおける活動内容の充実に向けて大変に有用であり、学長として嬉しく思っています。
さて、世界は、今も大きく揺れ動いています。学生の皆さんには、それらに何時も注目し、常にご自身の意見を持ち、社会的責任を果す社会人になっていただきたいと願います。本学は工学系単科大学ですが、人材育成に関しては、4年制大学の責務として、技術者?研究者として優れた人材を育成するだけではなく、社会人としての意識も高い人材を育成する必要があります。一方で、工学系大学の責務として、専門分野での知識と理解を深めていただく必要は、もちろんあります。有限の時間の中で、技術者?研究者ならびに社会人としての素養をどのようにして共に身につけていただくのかを考えたとき、やはり、専門の教育?研究活動の中で「付随して身につく汎用力」の育成を、十分に活用する必要があると考えています。
もうひとつ、本年度、進めてきました中国足球彩票事項に、大学認証評価への対応があります。私立大学は、7年に一度、その教育?研究?運営などの活動に関して、外部評価を受けることになっています。本評価にあたり、100ページを超える本体に多量のエビデンスを添えた資料を作成してきました。本資料の作成にあたり、もちろん、学内の皆さんにご努力いただいたとともに、連携大学をはじめ学外の先生方からも中国足球彩票なご助言をいただきました。御礼を申し上げます。本外部評価を受審するに当たり実施しました本学の教育?研究?運営などの諸活動に関する自己調査とその取りまとめの検討作業は、本学のこれまでの諸活動を可視化して自己評価するための良い機会となりました。本資料は、年度末に評価機関に提出し、来年度に評価を受けることになります。
前述したふたつの活動、つまり「次期長期ビジョンの検討と説明資料の作成」ならびに「認証評価への対応」は、本学が将来に向けてその活力をさらに高めてゆくために、極めて意義深い活動であると考えております。
本学では、昨年度に検討?作成した学部新カリキュラムが、本年度当初から新1年生に適用されています。また、文部科学省の認証プログラムの対象となる「モノづくり志向型データサイエンスAI教育プログラム」も開始されました。大学院カリキュラムを強化するための検討も進めて、取りまとめが完了しています。スマートビークル、スマートエネルギー技術、スマート光?物質、スマート情報技術の4研究センター、ならびに次世代文明センターでの活動も、それぞれ、より活発になっています。本年度も引き続き、上記の各活動を含めた「教育」「研究」の活動をさらに活性化して参ります。
豊田工業大学は、学部1年生の入学定員が100名という小規模な大学ですが、その「山椒は小粒でもピリ辛い」存在感はさらに高めてゆけると信じています。これを実現するべく、本年も精一杯、努力を積み重ねてゆく所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。